アイツと、読書と、音楽と

ひと知れず されど誇らかに書け

今年のライブ、備忘録。

今年行ったライブなど、書いておかないとスルスルと忘れるお年頃なので、その日書いたメモ書きも添えて残しておきます。
来年以降数年は節約を強いられる年になるので、熟考の上、厳選してライブに望まなくては
いけない(と思っているのも今のうちだけかもしれない)、そんな気持ちもあって、今年は我ながらいろいろと頑張りました。(主に「冬の花」のために)
40代最後の一年、充実した楽しい音楽時間でした。

 

2019.01.16【LIVE】エレファントカシマシ 新春ライブ    日本武道館 最前列。

こんな席一生に一度だろうが、その一度がこの日で良かった。宮本の歌唱力が凄まじく、ソロになるってこういうことなのかと驚く。至福の時。幸福感いっぱい。

 

2019.02.23【LIVE】STAND ALONE CHABO&和田唱    品川クラブex 4列目。

RC好きで、一度も生でCHABOさんを観たことのなかった友人をお連れする。
CHABOさんご機嫌。そして和田唱の嬉しがりっぷりが可愛らしい。CHABOさんは相変わらず優しさのかたまり。今年3本の指に入る最高の歌が「New World」。CHABOさんと唱くんが交互に歌う。これは忘れられない。

 

2019.04.29【LIVE】七尾旅人 恵比寿 スタンディング

聞きしに勝る凄い声。繊細でもあり、かつダイナミックでもあり。男性ファンがめちゃくちゃ多くてびっくり。
ファンの聴く態度がすごく良い。聞きたい曲、全部聞けた。

 

2019.05.04【LIVE】清志郎ロックンロールショー    日比谷野音 B4列     

一組一曲。実に贅沢。特にチャボバンドのパートが最高だった。宮本、いい声出してた。何より、チャボの優しさ、切なさ、全部出てた。そしてキムタク出てきた。すげーな令和。

 

2019.05.17【講談】神田松之丞独演会 イイノホール

唸りました。講談、これほどに面白いものなのか、と。100年に一人の男、未来の人間国宝
伊達や酔狂じゃねぇ凄み。サインもらった。家宝になるかも。

 

2019.05.26【LIVE】岡村靖幸「セレブリティ」    神奈川県民ホール 1階5列 

不思議と肩の力を抜いて観ることができた。弾き語り、良かったなぁ。真骨頂。それで全編やってほしいわ。
真夜中の、で泣いたわ。マーガリン潰していた君が…ってさ。

 

2019.07.07【LIVE】エレファントカシマシ 日比谷野音 C6列    

降り続く雨が、異空間を作った。祝祭ムードを自ら作り出す宮本。通常のヒリヒリとしたエピック感漂う野音ではなく、賑々しいお祝い野音。冷たい雨降ってちょうどいい温度。

 

2019.08.03【LIVE】Reborn Art Fes 石巻総合体育館 2階正面    

暑い暑い日だった。坂の上にある体育館。あぁ、ここが…。
宮本の冬の花は凄まじき大輪の刹那的な花。しばらくこの歌声は忘れないと思う。
会場中が宮本を歓迎していた

 

2019.08.11【LIVE】オハラ☆ブレイク    猪苗代湖
この私が、ついにオハラにまで行くとは!実に居心地のいいフェス。宮本のギターの具合も良い思い出に。
「きみに会いたい」完ぺき。

 

2019.10.05【LIVE】仲井戸麗市お誕生日ライブ    六本木EXシアター B列ど真ん中

3時間のライブの後にサイン会。
荒吐の話を直接することができて、名前も書いてくれて、握手もしてくれて。ありがたさしかない。

 

2019.10.30【LIVE】岡村靖幸「やばいよ!この気持ち。」    中野サンプラザ 1F9列    

岡村に関して言えば100点。「愛してくれない」「Lion Heart」はお見事。「帰れない二人」を歌う。泣いたわ。泣かされた。

 

2019.11.21【朗読劇】不在証明 松田優作 草月ホール 5列目   

若干高いんじゃない?と思ってごめんなさい。龍平の立ち姿だけでその価値あった。鳥肌。
そして向井&ネコさんの組み合わせ最強。最高のキャスティング。

 

2019.12.05【LIVE】カバーズフェス NHKホール    12列目 

宮本「冬の花」「あなた」。これ以上ないってくらい素晴らしい歌唱でした。
素晴らしすぎてただただ泣きたくなる。

 

2019.12.08 【LIVE】矢野顕子さとがえる  NHKホール 15列目 

もう矢野さんを観るのが11回目。今までもその歌、その演奏に常に驚かされてきたけれど絶好調っぷりが凄かった。少しお痩せになったかしら。衣装も髪もかわいい!「Paper doll」は絶品中の絶品でした。

「完全ネタバレ 岡村靖幸『やばいよ!この気持ち。』in中野サンプラザ2日目に行ってきた

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ネタバレ多数ですので、ご注意下さいませ。

※セットリストは一番下に記載してあります。

 

 

さて岡村だ。靖幸だ。いわゆる岡村ちゃんだ。

(久しぶりに岡村のことを書くよろこびにうち震えるわ)
ほぼ毎年恒例となっている秋の東名阪プチツァー。今タイトルは「やばいよ!この気持ち。」(このタイトルをつけた時点で、本来気づかなくちゃいけなかったわ、岡村ちゃんの絶好調具合を。)
初日からセトリがやばいと評判になっていたので、期待増し増しで行ってまいりました。
いやー、結論から申し上げますと、セトリよりなによりまず、岡村の出来上がりっぷりがすごかった。
中野二日目ということで、声の具合はいかがなかんじでしょうか、と揉み手をしながら見始めましたが、むしろ身体があったまってます的な、聴いていて一切不安のない声量と安定感。
私も長年岡村をガン見し続けてまいりましたが、ついにここまで来たか!と驚愕の岡村史上最高と思われるコンディションを目撃することができ、感無量でございます。
その証拠に、岡村ちゃん会心の歌唱後のドヤっとした顔の多かったこと。
「フォーっ!」やら「オーライ⤴︎!」やらの叫びにまで余裕ありあり。
今の俺はなんだって歌えるさ、という自信にみなぎった姿、かっこいい…。

あまりにも感動にうち震えたので、詳細な部分がざっくりと抜け落ちておりますが、とりあえずセトリにそって振り返ってみましょう。

 

1曲目からしてすでにチャックが止まらない「いじわる」
オープニングのうすーい幕のある状態のライティングが2011年以降一番ゴージャスで、とにかくそこからして気分があがったのですが、その時の曲にちらりちらりと「いじわる」のイントロ部分が入っていたのですよね。でも、いざ始まってみると、何の曲?となるこれまたアレンジの鬼才、今まで聴いた中で一番テンポを抑えた「いじわる」をご披露。どんだけ聴いてきたかわからないこの曲ですが、斬新と言うか新鮮というか、今の岡村ちゃんのステージにぴったり。
しかし、マイクを持ちながらパンと一度うっかり大きく手を叩くなど、安定した姿を見ることができ、私の緊張感も完全にその瞬間ゆるみました。ありがとう。

そして2曲目に「ハレンチ」。2012年エチケット+以来7年ぶり。ガンガン頻繁にやってほしい曲のひとつです。
あ、相変わらず私のおDATEでの岡村に対するロックオン具合は、あとで自分にひくくらいのものでいつダンサーのお二人が出てきたか、間のMCで何が行われていたかの記憶が定かではなくなるレベルなのですが、ハレンチにおいてはフォーメーションがしっかりできているダンスっぷりに感動。
今回のステージ全般において、ダンサーとのシンクロが多く、見ごたえがありました。

3曲目は「少年サタデー」。新しい曲がこんなに喜ばれ、こんなにみんなに憶えてもらっていて…、と完全に親戚のおばちゃん目線で見てました。今日もムササビは元気に飛行しておりました。
「どぉなっちゃってんだよ」のマンション、ファッション、あの手の動き。人生頑張っていると、こういうものがまだ見れるのですね。ありがたや。
「Lover’s Holiday」だったのかな?全然洋楽に疎いのでネットで拾った情報を挙げておきますが、歌わされました。岡村ちゃんの心の中では「こんなに有名な良い曲だから、みんな知ってるよね。知らなかったら憶えよう!さあ、歌ってみて!」なのでしょう。
岡村レベルの洋楽ハードルは高く、いまだ私は一度でハードルを飛び越えられたことはありません。

「イケナイコトカイ」、これ春にも聴いてるはずなのですが、超絶良かった。
それは絶対声のコンディションがべらぼうに良いから。後半のウォウォー部分の実に素晴らしかったこと。ここが素晴らしいと、イコールほぼほぼその日のステージ全部素晴らしいってことになりますので。
メンション、メロンパンっていつにも増して絶対確実に歌っていました。

なぜか私の涙腺決壊ポイントその1「ステップUP↑」。なぜここで泣く、自分。
生きてるから涙が出るの、と宮本浩次は歌っておりますが、まさにそれな。
なんか、生きてるーって感じがしたんです。スローバージョンも嫌いじゃないけどやっぱりこのテンポで聴きたい!
そしてステップUPつながりでステップアップLOVE。DAOKO部分のこちらへのまかせ具合というか、割り切りがすごい(笑)。いや、ありがたく歌わせていただきましたけどね。普通なら全部まるっと歌ってしまいそうな箇所も確実なるおまかせ。めっちゃオモロ。

「彼氏になって優しくなって」しなやかなキッスしたい、の部分の観客の手が岡村のそれと完全にシンクロ。したい、でふわっとさせるやつ。あれステージから観ていてうれしいんじゃないかしら。
2年半ぶりの「うちあわせ」。歌の最後の方の英語部分で「英語で歌っちゃいなよ!」ってジャニーさんかな?と思わせる岡村からの指令がツボにはまりました。これ空耳だったとしても指摘しないでください。
ずっとそう言われたと心のポーチにしまっておきます。

さあさあさあさあ。私の今回一番の褒めまくりたい曲№1。実にTour“Peach”以来30年ぶりで歌われた「愛してくれない」がここで登場。30年ぶりってどうかと思うけど、そのくらいの年月は必要だったかも。
この曲を初めてCDで聴いた時には、「私には洋楽はもういらない。だって岡村が日本語で歌ってくれるじゃないか」と思ったものです。でも、若かりし頃の私には、この曲の本当の良さはわかっていなかった!
熟した岡村が歌う「愛してくれない」、これね、来年あるとしたら全国ツアーに持参してほしいです、絶対。みんな、聴いたらビックリすっぞ!(突然の悟空)。極上でしたよ、極上。痺れるなんてもんじゃない。極上。
泣いたわ。本日2度目の涙。
そして3度目の涙がすぐ流れるわけですよ、ワーオワーオワオワオ「ターザンボーイ」で。
君のためにライオンと戦える男でいたい、ですよ、まったく。
みんな喜ぶ→岡村嬉しそう→みんなもっと喜ぶ、の無限ループみたいな空間でした。
これも5年ぶり。頻繁に歌ってください。

ねぇねぇ、岡村ってさー、の「Punch↑」からの、産んでみてでおなじみ「祈りの季節」(まさかアルバム「家庭教師」の時には、こんなにライトに子供を産んでみることを提案される曲になるとは思ってもみませんでした)の流れのかっこよさ。こういうところが天才。
「Out of Blue」も泣けたな。すぐ33年前は、とか過去のことを遡ってしまう、これ聴くと。歳ですね。ヨボヨボ。

「あのロン」でオベーションを弾く岡村、「だいすき」で女の子のために今日は歌う岡村。
この時間が永遠に続けばいいなと思います、いつだって。

 

「マシュマロハネムーン」からの「セックス」
私の苦手曲だったはずが、今回はなんだかとても好きになってしまいました。これ収穫。
と同時にセックスの歌詞を岡村ちゃんがだいぶ憶えたことに焦りを感じたので、私もそろそろ憶えます。

 

は?

 

「揺れるお年頃」のさすりタイムは、「もっと下の方?もっと下の方?」と問いかけられながら真ん中から下にむかってさすり続けていました。ソフトタッチで。かわいい歌のはずだったのに、なんでこんなことに…(褒めてます)
デンスチェンスロメンスは自分次第の「SUPER GIRL」。側転しない代わりに超踊ってます。
それでいい、それでいい。

 

さあ、今日は何が飛び出るかと待ち構えていたギター弾き語りコーナー。
私にとって、記念日となりました。
洋楽のあとに歌ったのが、井上陽水忌野清志郎「帰れない二人」
いつかこんな日がくればいいなぁと思っていました。近藤さんがマネージメントをし始めた時からかな。
RCも聴いていたと言っていたし、まああの年代の男性歌手なら聴かないわけわないものね、と思っていました。
岡村ちゃんが歌う清志郎、聴きたいなぁと思っていたら、そうきたか(号泣)。
井上陽水大好きな岡村ちゃんらしい選曲だったかもしれません。でもついに岡村が清志郎に触れた日。
やっぱり記念日です。
Blackbirdかな?これも良かった。
ほんと、弾き語りツアーやってほしいと切望。岡村ちゃんに関してはもうあれこれお願いすることはありません。十分にもういっぱい幸福をいただいているから。でも弾き語りツアーだけは切望。
で、この後の「Lion Heart」がビックリするくらい良かった。
何がいったい違ったのか?これまただいぶ聴いている曲なのに。
本日何度目かの驚愕。間違いなく声の良さだと思います。そして技術。まだまだこんな伸びしろがあるとは。恐れ入りました。

 

「vegetable」もやったんだけど、もうこれはセトリの位置がわからない。なぜなら興奮したから。
とにかく最初から最後までオベーション弾いていて、私の心のなかのキャーキャーが止まらなかったです。何度でも言うけど、ギター持った岡村ちゃん、最強。

 

「愛はおしゃれじゃない」
「ビバナミダ」
ひとりテーマパークだと思いました、岡村ちゃんって。こんなに笑わせて泣かせて。
私は終演後、こんなことをつぶやきました。
「満期だ。辛い時も苦しい時もコツコツと貯めてきた定期預金が満期を迎えた。
ありあまる富だ。 岡村靖幸、最高更新!」

若かりし早熟なシンガーソングライターが、まるで30年後の自分を予見していたかのような楽曲を作り、それにより50代がキラキラと輝いている、その現実をリアルタイムで追いかけることができる幸せ。

上手ばかりで眼鏡をはずしまくる岡村、上手の奥の奥ギリギリで歌う岡村。下手だった私はその部分だけ詰め寄って責めたいけれど(笑)それ以外は満点です、岡村ちゃん
あれほどまでに高度なコールアンドレスポンスを堂々とやりきる人を他に観たことがありません。そして、あれをやり切ることも、DATEのお客さんの醍醐味のひとつと言えるでしょう。

 

岡村ちゃんが投げたシュートは私のバスケットゴールのど真ん中に決まりました。
キャーキャー言われ続ける岡村ちゃんで、ずっとずっといてください。
今回は褒める言葉しか出てきません。岡村靖幸が存在する世界に自分も存在できて幸せです。

 

気分がぐっと高まった私は、ちとせ画伯からのプレゼントを会社の机にそっとセットしました。

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早速正確なセトリをしゅうさんがあげて下さいましたので拝借します。

 

いじわる

ハレンチ

少年サタデー

どぉなっちゃってんだよ

Love’s Holiday [EW&F

イケナイコトカイ

ステップUP↑

ステップアップLOVE

 

彼氏になって優しくなって

うちあわせ

愛してくれない

ターザンボーイ

Punch↑

祈りの季節

Out of Blue

 

あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう

だいすき

 

《アンコール1》

Vegetable

マシュマロハネムー

セックス

揺れるお年頃

SUPER GIRL

 

《アンコール2》

ギター弾き語り (中央)

  ・Jealous Guy [John Lennon]

  ・Blackbird [The Beatles]

  ・帰れない二人 [井上陽水&忌野清志郎]

  ・Dear Prudence [The Beatles]

 

Lion Heart

愛はおしゃれじゃない

ビバナミダ

 

読書記録 2019年89〜91冊目

 

杏の気分ほろほろ (朝日文庫)

杏の気分ほろほろ (朝日文庫)

 

あっという間にお子さん3人、たくましい母となった杏ちゃん。

旦那さんとの出会いから結婚までの時期と重なっているのに、惚気的なものが一切ない、非常に信頼できる(笑)物書きだと思う。

単行本が出た際に一度読んでの再読。文庫版ならではのあとがきが嬉しい。おすすめ。

 

生きるとか死ぬとか父親とか

生きるとか死ぬとか父親とか

 

いいとこのお嬢さんだと思っていた。

半分あたりで、半分ハズレ。

彼女の自立した言動や感覚は、今までの育ち、生き方そのものにあったのか。

コラムニストらしい文章の書き方。短いスパンで上手いこと言う、ということの繰り返し。このリズムに慣れるまで少々時間がかかったけれど、大変興味深い本であった。

 

ヘルタースケルター (Feelコミックス)

ヘルタースケルター (Feelコミックス)

 

初めて岡崎京子の本を読んだ。映画化したのはもったいない。この作品は、これで完全に完成されている。



 

 

読書記録 2019年86〜88冊目

 

カゲロボ

カゲロボ

 

その人にしか書けない物語というものがある。
木皿泉の書く物語が、まさにそれ。
一つ一つの物語に、様々な形でロボットが登場する。
この非現実の存在により、むしろ現実的な哀しさ、苦しさ、優しさというものが強く感じられる。
木皿泉の小説にハズレなし。

 

 

Black Box

Black Box

 

こんな恐ろしいドラマのようなことが現実におこるのか、と寿命の縮む思いで読んだ。
性犯罪について、ある程度知識をもっているつもりでいたが、読み終わったあと、いかに
自分が無知に等しいかわかった。
これが自分の子供(それが男の子であっても、だ)の身におこったら、私にいったい何ができるのだろう。
そして、実名で告発されている人々が、まだ現役でしかも相当な地位にいることが不思議でならない。

 

 

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

 

伊藤詩織さんの本を読んだ後に、この本を読むと、非常に男性と女性とでは世間の視点の
ずれというか、ことの重要性を置く部分が違うことに驚かされる。
そういえば木嶋早苗、三度目の獄中結婚をしたなぁ。
完全に女性目線で書かれた100日間の裁判傍聴の記録。亡くなった方もいらっしゃるのであまり不謹慎なことは言えないが、とにかくこの木嶋早苗という人物から目が離せなくなる人は
多いと思う。興味本位でもなく、怖いもの見たさでもなく、深い井戸や、奥が見えない洞窟を覗いてしまう、そういうものの見方で。

2019年86~88冊目読了

読書記録 2019年83〜85冊目

 

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

 

一言で言ってしまえば時間旅行モノである。
過去の自分の読書履歴を見返すと、どうやら10年に一度読み返したくなるようだ。
10年も経てば内容はきれいに忘れ去っており、残るは誇り高き愛猫ピートについてのみ。
なぜかこうして再び手に取ってしまうのは、早川書房の表紙のピートの後ろ姿が忘れられないから。
もしあなたがSFを苦手分野として、しかし無類の猫好きであるなら、この作品は必ずSFへの優しき扉となってくれるはず。 

 

 

水曜の朝、午前三時

水曜の朝、午前三時

 

たしか息子が生まれる前の年に出版され、話題になっていたかと思う。
表紙と題名の印象から、まだ自分が読むには早すぎると思い続けて十数年。
年齢を重ねて良かったと思えるのは、本を読む際、その作品の中に自分の身を置く場がいくつも増えたということ。登場人物の気持ちに寄り添うことができるチャンスが増えたということ。
私も少し自分の人生を振り返り始めたということか。
読後、そういう時間をそっと与えてくれる作品。

 

 

屍人荘の殺人

屍人荘の殺人

 

図書館で予約。半年待って495番目に順番がまわってきたので、はりきって二日間で読了。
鮎川哲也賞の受賞の言葉が一番最初のページにあるのがまず少々興ざめ。
とにかく盛りに盛ったという印象。あまり盛られると、いろいろ気が散る。
ミステリーをまだ読んだことがなく、本格派を読む前の準備段階として読むにはいいのかな。はて。
それよりも何よりも映画化なのね。キャスティングを見て驚き。彼をその役に?内容が少し変わるのではないかしら。

神木隆之介「屍人荘の殺人」初映像!葉山奨之、矢本悠馬、山田杏奈ら11名参加 - 映画ナタリー

横山秀夫「ノースライト」

 

ノースライト

ノースライト

 

「警察小説ではない」横山秀夫との対峙。
一文一文に横山氏の全力が感じられる。
それが読む側の重圧にならないのは、ひとえに横山氏の技量によるもの。

 

建築士が主役。一級建築士、しかし彼の生い立ちにも、成人してからの人生にもいくつもの山や谷があった。この描き方が実に丁寧。
そこには創作者としての「作家=横山秀夫」本人のイメージが重なる。


家を考えるということは、おのずと家族を考えることに通じる。
主人公の本当に求める「家」とは、いったいどんなものなのか。

 

作中、ある画家の描いた一枚の絵葉書に書いてあった文章。
その言葉こそ、横山秀夫が書き続ける意味なのではないかと思った。

 

六年もの歳月をかけて存分に練り上げられた作品。
その分読み応えあり。時間をみつけて、一頁一頁を味わいながら読んでほしい。

 

ちなみに、私はよく俳優を勝手に想定して、あて読みをする。
今回は主人公の青瀬を阿部サダヲ、建築事務所オーナーの岡嶋を皆川猿時として読んだ。
この二人、そろそろこういう役をやってもいい頃合いだと思う。

 

様々な謎が固い結び目をほぐすように、徐々に解き明かされていく。
こういうミステリーもあるんだな。
おすすめです。

2019年82冊目読了。



 

 

All Time Best Album「THE FIGHTING MAN」【デラックス盤】を開封したぜ!え?今ごろ?

All Time Best Album「THE FIGHTING MAN」【デラックス盤】アンコールプレス決定! - エレファントカシマシ

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1年半ほど熟成させた。
先のブログにも書いたとおり、「自分なんか、まだまだっす」という感覚が常にあり、エレカシに関しては少し寝かせてから映像ものを拝見することがままある。

オールタイムベストのデラックス盤。
私がファンになったのは、タイミング悪く、ちょうどこのデラックス盤の予約が締め切られた後であった。
しかし、口惜しさはなかった。

なぜなら、このデラックス盤のありがたみがまだ全然わかっていなかったから。
エレカシ」での検索生活が始まり、Yahoo!チケットライブトークの存在を知ってしまい、

エレファントカシマシ デビュー30周年!Yahoo!チケット ライブトークにボーカルの宮本氏がゲスト出演!|動画|Yahoo!映像トピックス

↑まだ観れるんだ!

それをまるっと観てしまった私は、家の床が抜けそうになるほど地団駄を踏みまくった。それまでオールタイムベストの初回限定盤を聴いたり観たりしてウキウキしていたのにーぃ。
それほどのあのYahoo!の映像の宮本さんの全身を使っての自画自賛っぷりは
「今頃見せないでーーーー(号泣) 注)勝手に漁って見ていたのは自分」と泣けてくるほど。
いったい私にどうしろと?と涙目になっていると、きっと全国に同じような方がいらっしゃったのですね、まさかのアンコールプレス決定。
もうワッショイワッショイですよ。
町内を神輿かついで一回りです。嬉しかったなぁー。

さあ、そんなに喜んでいたのに関わらず、今の今まで開封せぬとは何事だと自分を一度叱っておきます。ここで冒頭に戻るわけです、自分、まだまだっす、に。

ところが、先日のオハラ☆ブレイクで、機は熟した!
あのステージには私の中のエレカシレベルを数段階UPさせる何かがあったのです。
ぐふっ。
「観てよし!」
との甘ちゃん軍曹(自分)からの許可がおり、ついに開封
あら?このデモテープCDはいったい?と新たなる謎が内包されているのは置いておいて(内容の確認すらままならぬ自分を恥じよ)まずは凄く観たかった下北沢シェルターDVDから。

1枚目が1995.6.21
あの「宮本、とっとと歌えー!
「無職の人、手上げて。はーい僕だけでーす」
「エピック、このやろう、ばかやろう」
でおなじみの、例のアレ。

9曲。なんと具のひとつひとつが重い、中身の詰まった、温度の高いほっかほかの演奏なのかしら。
やさぐれ感がありながらも、若さと野心に満ち溢れた、実にパワフルな歌声。生命力の塊。
「悲しみの果て」の前と後で完全に会場の空気が一変し、それはエレカシそのものの立つ辻の景色が鮮明に見えた瞬間。
そして、非常にこれは当たり前のことなんだけど、宮本さんのそばに石くん、トミ、成ちゃんがちゃんといるということ。じーん。
当たり前だけど、決して当たり前ではない世界。

1995年、バブルがドーンとはじけて、就職難を極め、なんとか滑り込んだ会社がブラックだった私は、転職先を血眼で探しておりました。
そんな年にこんなにももがいていた人がいたんだ、という今更の共感。私なんぞとは比べ物にならないですがね。
このころ、私がこのライブに出会っていたら、いったいどうなっていただろう、と自分の思い出に浸ってしまったところで、本日のDVD鑑賞は終了。