アイツと、読書と、音楽と

ひと知れず されど誇らかに書け

読書記録 2019年86〜88冊目

 

カゲロボ

カゲロボ

 

その人にしか書けない物語というものがある。
木皿泉の書く物語が、まさにそれ。
一つ一つの物語に、様々な形でロボットが登場する。
この非現実の存在により、むしろ現実的な哀しさ、苦しさ、優しさというものが強く感じられる。
木皿泉の小説にハズレなし。

 

 

Black Box

Black Box

 

こんな恐ろしいドラマのようなことが現実におこるのか、と寿命の縮む思いで読んだ。
性犯罪について、ある程度知識をもっているつもりでいたが、読み終わったあと、いかに
自分が無知に等しいかわかった。
これが自分の子供(それが男の子であっても、だ)の身におこったら、私にいったい何ができるのだろう。
そして、実名で告発されている人々が、まだ現役でしかも相当な地位にいることが不思議でならない。

 

 

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

 

伊藤詩織さんの本を読んだ後に、この本を読むと、非常に男性と女性とでは世間の視点の
ずれというか、ことの重要性を置く部分が違うことに驚かされる。
そういえば木嶋早苗、三度目の獄中結婚をしたなぁ。
完全に女性目線で書かれた100日間の裁判傍聴の記録。亡くなった方もいらっしゃるのであまり不謹慎なことは言えないが、とにかくこの木嶋早苗という人物から目が離せなくなる人は
多いと思う。興味本位でもなく、怖いもの見たさでもなく、深い井戸や、奥が見えない洞窟を覗いてしまう、そういうものの見方で。

2019年86~88冊目読了