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ひと知れず されど誇らかに書け

岡村靖幸「美貌の彼方」inカルッツ川崎に行ってきた

以下、セットリストに関するネタバレを含みます。

 

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さて岡村だ、岡村ちゃんだ、岡村靖幸だ。
私もブログを書かなくなってから久しいが、さすがに今回の「美貌の彼方」ツアーは備忘録として書き残しておきたい。

本当なら、私は千穐楽のチケットしか持っていなかった。急遽手に入ったチケットは、自分で譲ってもらっていながら私を少なからず動揺させた。
2019年10月以来の岡村、ということはコロナ禍になってからの初岡村。
コールアンドレスポンスのない岡村のDATE(ライブ)など行ったことがない。
どうなの?曲によっては丸投げ感のある岡村楽曲←失礼、いったいどんな感じなの?

 

会場はカルッツ川崎。大昔の私の通勤経路に、こんな立派なホールが出来ていたとは。
中も木のぬくもりを感じさせるとてもきれいな作り。
山下達郎もやるくらいだから、よほど音のいいホールなのでしょうね、と期待に胸が高まる。

今回のセットリスト、薄目程度に眺めてきたけれど、いざ始まるとその一曲目の意味の大きさに驚く。
一曲目は、普段なら中盤以降、盛り上がりが最高潮を迎える際に演奏される「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」
私はこの曲は、入院の際、全身麻酔がさめた時に聴いたほど大事にしている。まあ、これを読んでいる方にはしらんがなという話ではあるが、岡村楽曲の中で一番「私、生きてる!」感が強い。これを一曲目に持ってきたか、と大変驚いた。もちろんこの流れで「だいすき」へ。
フェスみたいだな、と思った。出し惜しみ全くなし。いつもなら「かっこいいオレを、もの凄く集中してみて!しっかり見て!」というオープニングなのに、こんなにも両手を広げて「待ってたよ!」的な感じで迎え入れられるとは。
「招かれている。岡村に今、私はお招きいただいている!」

セットリストの詳細は、いろいろなところでいろいろな方々が書いていらっしゃるが、ひとことで言うと「踊って!楽しんで!」という内容。座る暇なし。しかし座っても問題はないことも念のため付け加える。
いつだって岡村はセットリストにこだわってきたと思うけれど、今回ほど新旧の観客が楽しむことに腐心したセットリストはないのではないだろうか。完璧な流れ。
3曲目「いじわる」。いつもお色気部門というか、何らかの物体に跨る、明らかに手がチャックで止まんない=己のチャックの奥深くを弄るしぐさ。お約束事ではあるが、やはりこれを観ずして岡村のライブは語れない。よかったよ岡村、元気そうで。キャーキャー言ってあげられなくてごめんね、まず、そう思えるシーンである。

前回のアルバム「操」を引っ提げてのツアーに行けなかった私にとって「レーザービームガールは初の生聴き。かわいい。そしてライブで歌いやすそう。
「カルアミルク」は私の中では岡村のお辞儀の深さでその心情を推し量る楽曲となっているが、今回相当なものだった。ちょっと「エチケット」ツアーを思い出してしまうほどに。そしてここから随所で深いお辞儀を見ることになる。「家庭教師」のアレンジ、全然家庭教師っぽくなくて面白かった。こういうのは原曲のままで聴きたい人にとっては複雑な心境になるのかもしれないけど、岡村のライブの醍醐味の一つだと思う。
え、まだいじれるの、この曲を?という驚きに満ちている、それがDATE。

さて、古参にとっては大喜びの「ラブタンバリン」。なにせ心に住んでる修学旅行が育つ歌だ。全修学旅行に行き終わったという年齢の息子を持つこの私の心の中に、岡村のおかげでまだ修学旅行のときめきの破片が残っている。
そしてこのあたりになると、会場中のお手振りの一体感が凄いことに気づく。
コロナ禍でのコンサートの特徴であろう手拍子も、岡村が率先してここで、という合図をくれるので安心して参加されたし。
大好物と言えよう「ステップUP」ステップアップLOVEという楽曲を生んでくれたおかげでステップUP繋がりとしてセット登場しやすくなったのかもしれない。倫社と現国学びたい。
あいだに「住所」を入れてきたのがすごくカッコよい。あぁ、住所からのファンという方だって、この中にはいらっしゃるかもしれないなぁ、等と思いながらステップアップLOVEへ。DAOKO部分を一切歌う気がない岡村を久しぶりに見て、なんだか心がすっきりしました。何効果?

「ハレンチ」歌いましたよー、奥さん!完全にあのMVが頭に浮かんで、よくぞここまで健康(?)に育ってくれて、とまた泣く。泣きのポイントが親戚目線で申し訳ない。
懐かしいの歌うよ。いい?懐かしい曲歌うよ、と言うから何歌いだすのかと思ったら「19」だった。岡村にとって「19」は、なんだか懐かしいらしい。
あ、あとU2また歌ってた。洋楽に疎い私も、さすがにこれだけ歌っていただくと憶える。

 

このあたりで衣装についても言及しておくが、書き残しておく必要性があるのは3着目。アシンメトリーの長尺衣装。岡村自身、まだどう処理していいかわからない感じがたまらない。たぶん肩にかけるのは不正解だと思う。千穐楽まで大いに戸惑ってほしい。

 

「彼氏になって優しくなって」のしなやかなキッスしたい部分のお手振り、私はここがだいすきだ。会場の一体感半端ない。
「愛の才能」、今回のDATEで私が一番良かったと思った曲は、実はこれ。
もう何回も聴いているけど、間違いなく私の中でのベスト「愛の才能」は今回。何がそうさせたのか全くわからない。キーの高さ?アレンジ?声の出具合?いや、そういう単純な話ではない気がするぞ、キッッサッ!
「OUT OF BLUE」あの天井を指さすのは定型化したんだろうか。

 

前回ツアーではやらなかったと聞く弾き語りコーナーもあった。「友人のふり」、いつも岡村私達に歌わせるじゃん、大丈夫?とハラハラしながら聞く。私の持ち歌じゃないのに。
そして、これは嬉しかった私の上半期ベスト1ソング「私の真心」
当然アイナちゃんは岡村のデモテープを聞かされて(聞かされてって何)、あの歌唱に至ったわけで、こちらとしてはその元となる岡村の歌が聴きたいなぁと思っていた。
けっこう長尺で歌っていただけて大満足。岡村の提供曲にハズレなし。アイナちゃんファンにもぜひ聞いていただきたい。そしてこの時点で、今回の「美貌の彼方」のサブタイトルは「岡村の真心」だなぁ、などと私は思ってみたり。
弾き語りコーナーとして軽く歌うと思っていた山下達郎「いつか(SOMEDAY)」は、がっちりセットリストに組み込んできた。曲の力を大いに借りて(と私は思っている)、普段こういう語りかけ方はしないよなぁ、というくらい力強く岡村は私達に語りかけてくれた。絶対岡村が伝えたいことだったのだろう。「Punch↑」では戦争なんかおきたら、結婚しよう、新婚旅行に行って、いちゃいちゃして、タンゴ!と叫んでいたあの岡村が、だ。
いつも甘やかしてもらいに行っている自分が、岡村にこの度勇気を授けてもらった。これは素直に感動した。嬉しかった。来てよかったと思った。

 

メンバー紹介の時も、驚くべきことが。岡村がずっとギターを弾いていたのだ、メンバーの演奏に合わせて。これには心底驚いた。よって、岡村のギターを弾いている時間、過去最長。岡村のギター(もしくはベース)が何より好きな自分にとっては至福の時だった。今思い出すだけでもうっとり…。

 

「できるだけ純情でいたい」これまた客席のお手振りが揃いに揃っていた。
「ア・チ・チ・チ」これね、歌詞ですよね、歌詞。やっぱり七転八倒して歌詞を作っているという岡村靖幸の真骨頂。そして踊らすよねー。
「聖書」誰好きになろうといいじゃない 私の勝手よ くだらない と歌えないことの苦しさよ。
「愛はおしゃれじゃない」そして「ビバナミダ」で大団円。

 

川崎には花道があり、ステージから花道に行くためにはちょっと間に通りづらいと思われるような作りになっているのに関わらず、岡村は左右同じくらいの時間をたっぷり使って、花道フル活用。おかげで岡村の姿も肉眼でくっきりはっきり見ることができてトキメキ度アップ。しかし何より今回は岡村の精神的な歩み寄りというか、コロナ禍でもこんな風にDATEに来てくれて本当にありがとう、といった感謝の気持ちがものすごく伝わってきた。おそらく今までも何度となく岡村からの折々での感謝の気持ちは感じてきていたけれど、ちょっと今回はそれとは比べ物にならない相思相愛感があり、ついに本当のDATEをしちゃったのかもー🫶とぼんやり思っている。はぁ、満たされたわー。(勝手な思い込みですまない。しかし暫く思い込ませといてくれ)
コールアンドレスポンスができないゆえに届くようになった愛もあるのではなかろうか、などと思ってみてるがどうですか、岡村ちゃん

 

昔なら、ライブ後即ブログアップを信条としていたが、このくらい記憶が薄れるギリギリのところで書いてみるのも面白いものです。

このセットリストを見て、久しぶりに岡村ちゃんとDATEしたい!知っている曲が多いから、初めてのDATEをしてみる!という方がお一人でもいらっしゃいましたら幸いです。